3-3孤独死

2025年03月04日

年末の朝10:00のことです。市内の介護会社から当社の管理アパートに入居されている方と連絡が取れないと電話がありました。その入居者は50歳後半の一人暮らしの女性で持病があり、週に一回デイサービスを利用しているとのことでした。家主様にも連絡をし、私、家主様、介護会社のお二人の計4名が立会の上、玄関ドアを開錠しました。

 

ドアチェーンがかかっていたので室内においでることは確実です。ドアチェーンを切断し声がけをしながら私一人で入室しました。ひとりで入室するには理由があって万一の時は第一発見者は警察からの聞き取り調査の時間が非常に長くなるからです。

 

2DKの間取りですので玄関右にDK,突当りと並びに居室部屋があります。両方の引戸が閉まっていますのでまずDKに引戸を開いてみますと、すぐそこに入居者が仰向けに倒れていました。すでに顔色が変色し、生気はありませんでしたが、家主様に救急車を呼ぶようにお願いしました。

 

 

3-3孤独死


まもなく救急車が到着し、亡くなっていることを確認した後、警察に引き継ぎされます。パトカー、検死係りの車、近くの交番からバイクで数名・・・全員で8名の方がきて、私ども立会者に聞き取りをする警官、アパートの全部屋の入居者に近況を聞く警官、室内に入り事件性を調査する警官などアパートの周りは急ににぎわしくなります。

 

室内を調べていた警官から部屋の鍵、通帳、現金(財布)が見つかり、第一発見者の私がドアチェーンを切断したことなどを考えると事件性はないと思いますが、しばらくの間現場保全のため警察関係者以外の入室は禁止されます。

 

調査がほぼ完了するころにご遺体を検死解剖のために大学病院へ移送する専用の車が到着し、テレビでよく見る寝袋のような前面チャックの袋を担架で専用車に運びこみます。そこで第一発見者以外は解散となりますが、第一発見者の私はまた別の刑事さんから最初と同じ質問をされ、それにまた1時間ほどかかります。

 

管理会社として調査完了までの入室禁止のほか、親族の連絡先、鍵の警察での保管、検死結果、親族への通知など、すべての調査の完了後に鍵を返還されるのですが、大体2週間ほどかかります。

 

今回の場合、当社でお聞きしていた親族はすでに死亡しており、警察が親族を探したようですが見つからず最終的には身寄りのないご遺体として市役所の手配で火葬されました。親族でない私どもに検死結果は教えていただけませんが、たぶん病死と判断されたようです。室内に残された現金・預金は国庫に属されます。

 

では部屋の残置物の撤去費用、リフォーム代、警察の調査期間の家賃、光熱費は・・・通常は家主様のご負担となるのですが、この方はフルオプションの家賃保証内容の契約をされていましたので50万円まで家賃保証会社で賠償して頂けることになりました。

 

家主様は当初ご自身で負担することを覚悟されていたようで少し安心されたようです。